開業から年月が経つと、内装の古さが気になったり、診療の内容が変わって空間が合わなくなったりして、リフォームを考えはじめる先生もいらっしゃるでしょう。ただ、どこまで手を入れるべきか、費用がどのくらいかかるのか、そもそも今が適した時期なのかが分からず、検討が止まってしまうこともあるのではないでしょうか。
医療施設の設計に携わる立場からお伝えすると、リフォームの成否は、工事の内容よりも、何のために手を入れるのかをはっきりさせられたかどうかで決まります。本記事では、クリニックのリフォームについて、目的の定め方、解決できること、範囲の決め方、費用とタイミングの考え方の順に整理してお伝えします。
リフォームは目的をはっきりさせるところから始まる

リフォームを思い立ったとき、多くの先生はまず「どこを直すか」から考えはじめます。ところが、場所から入ると、気になる箇所を次々に足していくことになり、費用だけが膨らんで、肝心の課題が解決しないまま終わってしまいかねません。先に決めたいのは、何を解決したいのかという目的のほうです。患者さんの印象を良くしたいのか、診療の効率を上げたいのか、増えた機器を収めたいのかによって、進む道は変わります。目的がはっきりすると、手を入れるべき場所と、手を入れなくてよい場所がおのずと分かれていくでしょう。同じ予算でも、目的が定まっているかどうかで、得られる成果は大きく変わってくるでしょう。
クリニックのリフォームで解決できること

リフォームで手に入るのは、新しい内装そのものではありません。日々の診療で感じている不便や、患者さんの受け取る印象を、望ましい状態へ変えていくところに意味があります。代表的な3つの方向を挙げてみましょう。
古さや傷みによる印象の低下を改める
長く使った内装は、床の擦れや壁の汚れ、色あせなどが少しずつ積み重なっていきます。診療の質とは関係がなくても、古びた空間は患者さんに落ち着かない印象を与え、再来院や紹介に影を落とすこともあるでしょう。清潔感を取り戻すだけでも、クリニック全体の印象は驚くほど変わります。近隣に新しいクリニックができたときに、差が目に見えてしまう前に手を打っておきたいところです。
動線や配置の使いにくさを改める
開業してから何年も診療を続けていると、当初は想定していなかった不便が見えてきます。受付と待合が混み合う、スタッフの動く経路が長い、患者さんとスタッフの動きが交差してしまうといった課題は、レイアウトを見直すことで解消できることが少なくありません。日々の小さなストレスを取り除くと、診療のテンポとスタッフの働きやすさが同時に整っていきます。
診療の変化に合わせて空間を組み替える
診療の内容は、時とともに変わっていきます。新しい機器を導入したい、検査の枠を増やしたい、診療科目を広げたいといった変化に、開業当初の間取りが追いつかなくなることもあるでしょう。承継で引き継いだ医院を、自分の診療に合わせて整え直したいという場面も同じです。空間を組み替えることで、やりたい診療に器を合わせていけます。
リフォームの範囲をどう決めるか

目的が定まったら、次はどこまで手を入れるかという範囲の話になります。部分的に直すのか、全体を作り替えるのかで、費用も工期も、得られる効果も変わってきます。
部分的に手を入れる方法
気になる箇所に絞って直す方法です。待合の内装だけを新しくする、トイレをきれいにする、受付まわりを整えるなど、目的が限られている場合に向いています。費用と工期を抑えやすく、診療への影響も小さく収まるでしょう。ただし、間取りそのものに課題がある場合は、表面を整えても不便が残ってしまいます。
全体を作り替える方法
間取りから見直し、動線や設備の位置ごと組み替える方法もあります。使いにくさの根本から解決でき、これからの診療に合わせた器をつくれるのが強みです。そのぶん費用と工期はかかり、診療への影響も大きくなるでしょう。承継した医院を自分の診療に合わせる場合や、開業から相当の年月が経っている場合には、こちらのほうが結果的に無駄が少ないこともあるでしょう。
判断のよりどころを持つ
どちらを選ぶかは、先に定めた目的に立ち返って考えると迷いにくくなります。印象を良くしたいだけなら部分的な改修で足り、動線の課題まで抱えているなら全体の見直しが要るかもしれません。あと何年その場所で診療を続けるのか、将来どこまで診療を広げたいのかという見通しも、範囲を決めるうえで欠かせない材料になります。
リフォームの目的や範囲で迷っている段階でも、医療施設の設計に特化したラカリテにお気軽にご相談ください。
費用とタイミングの考え方

範囲が見えてくると、気になるのが費用と時期です。どちらも、目的と範囲から逆算して考えると、判断がぶれにくくなります。
費用は目的と範囲から積み上げる
リフォームの費用は、手を入れる範囲や診療科、既存の状態によって大きく幅が出ます。坪単価の相場だけを見て判断すると、自院に必要のない工事まで含まれていたり、逆に肝心な部分が抜けていたりしかねません。目的を果たすために何が要るのかを積み上げて考えると、金額の意味がはっきりします。見積もりを受け取ったら、総額だけでなく内訳を確かめ、どこまでが含まれ、どこからが別途になるのかをはっきりさせておくと安心でしょう。
診療への影響を見込んで時期を決める
リフォームは、診療を続けながら進めることも、休診期間を設けて一気に進めることもできます。どちらを選ぶかで、工期の組み方も費用も変わってきます。診療を止めたくない場合は、工事を分割したり、時間帯をずらしたりする工夫が要るため、そのぶん工程は長くなりやすいでしょう。連休を活用する方法もありますが、希望が重なりやすい時期でもあるため、早めの相談が現実的でしょう。
将来を見込んで計画する
いま困っていることだけを解決すると、数年後に同じ課題が形を変えて戻ってくることもあります。機器の入れ替えや診療科目の広がり、スタッフの増員といった将来の変化を見込んで図面に余白を残しておくと、次に手を入れるときの負担が軽くなるでしょう。
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リフォームで後悔しないための視点
最後に、実際に進めるときに押さえておきたい視点をお伝えします。まず、医療施設ならではの条件を満たせるかどうかです。診療所の内装には、医療法や建築基準法、消防法といった法規が関わり、既存の建物に手を入れる場合は、現況の制約のなかで解を探すことにもなるでしょう。医療機関の設計に慣れていない相手だと、こうした条件を後から知って手戻りが生じかねません。次に、目的に立ち返る姿勢です。打ち合わせが進むと、あれもこれもと欲しくなるものですが、そのたびに最初の目的へ戻ると、費用も効果もぶれにくくなります。そして、既存の図面や設備の資料が手元にあるなら、早い段階で共有しておくと、調査の手間が減り、提案の精度も上がるでしょう。
クリニックのリフォームはラカリテにご相談を
クリニックのリフォームは、どこを直すかではなく、何を解決したいのかという目的から考えると、範囲も費用もおのずと決まっていきます。印象を整えたいのか、動線の課題を解きたいのか、診療の変化に合わせたいのかを見極め、あと何年その場所で診療を続けるのかという見通しと合わせて判断すると、納得のいく計画に近づいていくはずです。
ラカリテは、医療施設の設計と内装を専門とする設計事務所として、新規開業だけでなく、開業後の改修や補修、承継にともなうリニューアル、医療法人化後の分院展開まで一貫してお手伝いしています。医療施設の設計実績は500件を超え、東京と大阪の拠点から全国のご相談に対応してきました。いまの空間に感じている不便や、これから広げたい診療の姿を、まずはお聞かせください。目的に合った進め方を、一緒に考えていきましょう。






